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計画は「量」で立てろ ――長期は「量」で、短期は「時間」で

「時間」の罠


 私は受験勉強を開始するにあたって綿密な計画を作成した。「7:00~8:30は英語をして、10分休憩した後に8:40~10:10は数学をする。そのあとは…」といったような感じだ。一見して、無駄な時間が全くない、完璧な計画に思えた。しかし、結果は散々だった。初日さえ計画通りにはいかなかったのだ。
 そして一度計画通りにいかなくなるともう終わりだ。結局は計画したものとは全く違う一日を過ごす羽目になり、その翌日もそのまた翌日も妥協しつづけ、ついには計画自体を無視するようになってしまった。

 我々は計画を立てるときに「理想」に走ってしまいがちだ。それまで1日1時間さえ勉強していなかった人がいきなり毎日3,4時間も勉強する計画を立てても実行するのは不可能に近い。
 そして繰り返すが、一回計画が崩れると終わりだ。ヤル気が一気にうせてしまう。一番ヤル気だったのは計画を作っているときという皮肉な結果に終わってしまうだろう。


「量」のマジック


 「時間」での失敗を反省した私は、「量」で計画を立てることにした。「一ヶ月間でこの単語集のここまでは完璧にする」といったような計画だ。
 すると、前の失敗がまるでウソだったかのように、計画に沿って効率的勉強ができるようになった。たとえ計画通りに行かない日があっても、すぐにその遅れを取り戻すことができた。計画が崩れてヤル気が出なくなるときは一度もなかった。

 そもそも大学受験において、結果を決めるのは「何時間勉強したか」ではなく、勉強の結果として「どれだけ知識を身につけたか」である。だから、時間ではなく量で計画を立てるのは当然といえば当然だろう。


「量」が「効率」を生む


 「量」で計画した場合、我々はどういう意識で勉強しているだろうか? 時間の制約はないので、おそらくできるだけ短時間で決められた量をこなしてさっさと勉強を終えようとする意識が出るはずだ。……結果として勉強の効率を上がるのは明らかだ。

 また、量で計画した場合、多少遅れが出ても挽回が可能だ。しかし、時間で計画した場合、過ぎた時間は一生返ってこないから挽回は不可能だ。一回計画から外れたという事実は消えず、それでヤル気をなくし、いつしか計画など全く意識しない生活に戻ってしまう。そうなると、計画を立てたこと自体が無駄だったということになる。


そもそも計画なんて守れない


 しかし注意してほしい。計画は絶対ではない。というか、普通は計画なんて守れない。
 「おいおい、ちょっと待てよ」と思われたかもしれない。しかし、計画を決める段階を想像してみて欲しい。例えば、初めてやる参考書を終えるのに何時間かかるかなんて分かるはずがないではないか! 一見簡単な問題集であっても実際やりはじめたら躓くこともよくあるではないか! ……こう考えると、いかに計画がいい加減なものであるか分かるだろう。


 だから、計画は「①あくまで目安として扱い」「②常に自らの手で改善していくもの」でなければならない。

   ①については単純だ。最初から完璧には守れないことが分かっているのだから、計画を絶対視してはならないということだ。たとえば、あまりに緻密な計画を立てようとして時間を浪費してはならない。どうせ計画通りにはいかないのだ。

 ②は、①の応用だ。最初にたてた計画に縛られずに随時状況に合わせて変更していかねばならない。たとえば、単語集をやり始めて思ったより早くできそうだったら計画を前倒しするべきだし、逆に時間がかかりそうならば他の教科の時間を削る、やるべき参考書を減らす等の対策を打たねばならない。

 「綿密な計画を立ててそれを遵守する」のは無理なのだ。「適当に立てた計画を、毎日磨き上げていく」という、絶え間ない努力が重要なのだ。


「時間」は短期で利用すべし


 これまで「時間」による計画をさんざん批判してきたが、使える場面がないわけではない。時間は今現在から「短期」の計画を考えるのに適している。具体的には、学校から帰る前に「今日は7:00からは英単語の勉強を一時間する!」と決めるのは非常に効果的だ。

 「量」にしか意識がないと、いわゆる「怠け」がよく出てくる。長期での具体的計画はあるが、今やらねばならないような差し迫ったものではないから、ぐだぐだ過ごしてしまい結局夜11時から勉強を開始する羽目に……といった具合だ。結果として「量」による計画にさえも支障が出る。

 一方、「時間」による短期計画は「今すぐそこに迫っているTASKがある」という意識につながる。分かりやすくいえば、「今やらないと駄目だ!」と自分自身を急き立てるのに向いているのだ。
 時間による長期的計画は絶対に守れないので意味がないが、毎朝「今日はこんな一日にしよう!」という意識を持ち気を引き締めることも忘れてはならない。


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コメント

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すごく参考になります!
計画をどのように立てればいいのか、いろんなことに応用できそうです!

受験生

時間よりも量には共感します。そして、理由が時間をきっちり守れないからということもありますが、自分的にはその人の集中力や能力(吸収率が良いか悪いかなど)によって参考書の進み具合がかわり、それにかける時間もかわると思うんです。例えば、2人の生徒がいて、一人は8時間に1冊、もう一人は16時間に1冊参考書を終わらせるということにして、それを一年間続けることにすると、8時間に1冊参考書を終わらせる人は16時間に1冊参考書を終わらせる人の2倍できます。だから、今日は何時間やったとかじゃなく、今日は何冊、または何ページ進めたとかだと思うんですけど、どうですかね?

talkers

長期間は量で決めて、
短期間は時間で決めるのがしっくりきました。
恐らく何時までにここまでやる!と決めても
小学生の夏休みの宿題状態になるでしょう。

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参考にさせてもらいます!

York

はじめまして。
相談させていただくことがあると思います。そのときはよろしくお願いします。

かんな

初めまして。質問良いですか?計画は緻密過ぎるのは良くないと言いますが、では、どういった計画が良いのですか?
計画というものを立てた事が無く、自分で量など決める事が出来ません。適当だと遅くなってしまうようで…。
アドバイスお願いします。

だにえる

割合
主要3教科と他の教科どのような割合で進めていけばいいんでしょうか?

デルタ

ありがとうございます

高校三年間本当に綿密な計画を立てては崩れ、立てては崩れの連続だったので、今年浪人でした
しかし今これを読んで思えば、本番間近に一度だけ、ここで言うと、量のある勉強をしたなぁ
二週間で青チャ三冊を一周するという計画をしたら、かなりハードなスケジュールで、もちろん実現しませんでしたが、かなり充実した勉強ができたと思う

浪人したわけですが、ここを見て勇気が出ました、来年に備えて、ここの勉強法を自分なりの工夫もしながら、実践したいと思います

ちき

なるほど。
参考にします。
ありがとうございましたv-535

RISA1008

目から鱗。
まさに今、時間で区切って3週間ほど失敗しています。
量で考えてみます。ありがとうございました。

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とても参考になりました。

活が入るブログですね。私はテスト前に焦って必死に詰め込もうとします。そうゆう時が一番短時間で大量に頭に入る気がします。短期記憶なのですぐ消えますが。それに気付いたので勉強する前に今から30分後に試験があると仮定して集中するようにしています。とにかく時間がないので時間を追っています。

G戦士

そうですね。記事でも述べていますが、時間制限を置くことは大変重要です。

ただし、テストにおいて時間内で「たくさん正解する」のが目的であるのと同様に、普段の勉強においても、あくまで「たくさん量をこなす」のが目的です。時間は制限としては機能しても、目的になりえないよってことです。

nani

↓ 時間をないがしろにしろとは全く記事中に書いていない。

量と質より、時間を第一にする姿勢が間違っているというのを意味しているように見える。


確かに「○○○時間」勉強したといっても、あくまでその間でこなした量と質なんだと思う

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これは間違ってる。

時間の制約がない状態で勉強をしてもだらだらしてしまう。

脳の仕組みてきにも証明されてる。

麒麟児

麒麟児
ありがとう。参考になりました。 
一歩前に進めるようにがんばります。
平成に咲き舞い上がる風にのり私は進みます。
ここに誓う

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参考になりました。

もみじ

はじめまして
受験計画を立てていてまさに上記の通りに初めは失敗してしまいました
2・3日はいけたんですが次第に無理が出始めて・・・
なるほど量ですか・・・
参考にさせていただきます ありがとうございました
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G戦士

昭和60年生。元京大総合人間学部生。現在はアメリカで某プロフェッショナルファームに勤務。

地方公立高校卒業後、半年間のフリーター宅浪を経て、京大に合格。その経験から得た受験勉強法を書き綴っています。
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